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東京都郊外のお寺に産まれながら、大学卒業後すぐには僧侶にならず『ビジネスマン』を経て僧侶となった。

そんな珍しい経歴をもつのが、今回紹介する小野常寛(おの じょうかん)だ。

彼は帰国子女率約20%、外国人率約10%というグローバルな都立国際高校へ通い、大学在学中にはLewis&Clark collegeへ留学している。大学卒業後は新卒でベンチャー企業へ就職した。

退職後は、自身のビジネス経験を仏教界へと活かせないだろうかと考え、「株式会社結縁企画(http://kechien.jp/)」を起業。

地域・社会に開かれたお寺作りの支援として、カフェやイベントを利用したプロデュース、プロダクトの企画開発や販売。

お寺を誰もが気軽に立ち寄れる場所にするべく、現在は生まれ育った寺で僧侶として活動しながら、会社の代表としても活動している。

まさに、二足の草鞋をはく「国際的な僧侶」であり、ビジネス経験もある「社会をよく知る僧侶」だ。

僧侶としては珍しい経歴だが、一般社会からすると大学卒業後、企業へ就職という普通の経歴を歩んできた小野常寛。彼はどのような僧侶なのだろうか。

お寺は誰もが気軽に立ち寄れる「開かれた場所」

『お寺は、葬式や法事の時にだけ訪れるもの』

そんなイメージを払拭し、「開かれた場所」として誰もが気軽に立ち寄り、いつでもお坊さんと会話できる風景は、小野が目指すお寺の在り方だ。

昔お寺は、悩み相談のような役割も持っていた。

祖父が健在だった頃、小野が境内で遊んでいると、暗い表情でお寺に入った人が、出てくる頃には表情が明るくなっていたという。

そんな風景が日常的にある場所で育った小野は、「人を幸せにしたり明るくするのがお坊さんなのだな」と、幼いながらに信念が芽生えたと語る。

「人との交流が希薄となっている都市部に、誰もが気軽に立ち寄れる場所を作りたい」そんな思いから小野は、ビジネス経験を活かし起業(株式会社結縁企画)。

カフェを設立し、お寺に人が沢山来ていただけるキッカケ、仕組みを作ろうと考えた。

「英語が話せるという強みを生かして外国人向けの座禅会を開いたり、外国人観光客向けのツアーなどにも取り組んでいます。

葬式や法事の時だけのお寺を脱却し、お寺を『開かれた場所』として誰もが立ち寄れる場所にしたいですね」

そう語る小野は、お寺同士を有機的に繋ぐことが出来れば・・・と想いを話してくれた。

お寺には住職によってカラーがある。

「こういう問題であれば、あそこの住職がよく取り組んでおられますよ」と紹介できる有機的なつながりの中で、悩みを聞く体制を作っていけたらと。

 

ベンチャー企業の経験から、現代人が抱える『仕事』の悩みを聞けるお坊さん

今世の中は物凄いスピードで、社会だけでなく仕事・働き方も変わっている。

それだけではない。人口が減少傾向にある日本は、国内だけに目を向けたビジネスではなく、『グローバル化』が急務だと叫ばれている。

そんな世の中に、心が折れてしまう人もいるだろう。

小野はベンチャー企業での経験があり、自身も折れた経験があることから、現代人が抱える『仕事』の悩みを誰よりも親身になって聞くことが出来る。

更に、留学の経験から『英語も話せるグローバルな視点』も持ち合わせている。

僧侶でありながら一般社会に身を投じ、外の世界、様々な社会を見た小野だからこそ体験談も含んだ、より濃い悩みまで聞き出してくれるだろう。

「国際的な僧侶」「社会をよく知る僧侶」を理想としたキッカケ

「祖父の影響が大きいです。祖父は若い頃省庁で働き、その後僧侶になりました。

人格者で、多くの人に慕われた祖父の生き方を尊敬し、自分もまずは、外の世界、社会を見た方が良いと思い、ストレートに僧侶にならない道を選びました」

『国際的な僧侶』に憧れを持ったキッカケは祖父以外にも、ダライ・ラマ猊下やティク・ナット・ハン師など、海外の僧侶に崇敬を持ったことが大きいのではないかと小野は振り返った。

また実際に、グローバルに活躍するお坊さんや教授と知り合ったことで、近しい憧れができたことも、進むべき道を明確なものにしてくれたという。

憧れだけに留まらず、大学時代、留学生時代、ビジネスマン時代は、僧侶になることを視野に入れて学んできた。それらの体験が今にしっかり生きている。

例えば留学。日本だけにいると、海外のことはニュースでしか知らない人が多いだろう。

イスラムの人は怖いという固定概念も、実際会ってみると怖くないし、温厚な人ばかりであることに気づく。

知識と実体験があることで、メディアに踊らされず、色眼鏡なしに誰とでも接することが出来るという。

様々な目的の人を受け入れるサロンのような場所

小野は修行時代、『亡くなった人に向けての仏教』だけではなく、『生きている人たちに向けての仏教』の大切さついて教えられたという。

『生きている人たちに向けての仏教』とは、悩みだけではなく、目標達成など多様的な価値を提供するものであると語ってくれた。葬儀や御祈願は柱となるものなので、ないがしろには絶対しないが、それだけでなくお寺をもっと多目的な場所として追求していきたい。

そのモデルとして小野は「サロン」のようなものを想像している。

お寺では様々な考え方、動き方、目的がある人たちを自由に受け入れることが出来る。

みんなで考えを共有するサロンのような場所が、将来お寺の目指すべき姿なのかもしれない。

そんな未来へ続くお寺を目指して、小野は他のお坊さん達とネットワークを作り、こんな取り組みも行なっている。

お坊さんは天職だった。今後の目標について

比叡山延暦寺で厳しい修行を経験した小野は、「修行中が一番幸せでした」と振り返った。

「自然と一体になったと感じた瞬間、我が薄れていったと感じた瞬間に幸せを感じた」と語ってくれた小野だが、まさにお坊さんは天職だといえるだろう。

今後は、地域に求められるお寺、多様的な価値を提供できるお寺として「開かれた場所」にするべく、学びの場作りや取り組みを行っていく考えだ。社会に求められ、海外、世界からも求められるお寺づくりを目指していく。そんな強い信念を持つ小野は、今後の目標について語ってくれた。

「今後の目標としては、『国際的な僧侶』として、日本の和の仏教を世界、海外の人に発信したいですね。

その為には自分自身が日本仏教についてしっかりインプット、修行をして、海外の方に説明や案内、修行体験を通じて、アウトプットも同時進行して行っていければと思います」

―インタビュアーの目線―

お寺を『開かれた場所』にしたい。

小野さんのお話にはこの言葉がよく聞かれました。

地域の方やお寺を訪れた方に進んで声がけを行ったり、自分自身のキャパを広げるため、今も尚、信念を貫き学びに励む姿には潔さを感じます。

未来のお寺は悩みだけでなく、“願いを叶える道を作る”、多様的な価値を提供する場所へと変わりつつあるのかも知れません。

『和やかで凛としたお坊さん』。

そんな言葉がぴったりな小野常寛さんですが、『社会をよく知る僧侶』『国際的な僧侶』として、今後さらに活躍されることでしょう。

 

プロフィール

小野 常寛(おの じょうかん)32才

東京都府中市/天台宗普賢寺 僧侶

高龍山明王院普賢寺四十二代目の実子として誕生

都立国際高校、早稲田大学第二文学部卒業

早稲田大学に在学中、米国Lewis&Clark collegeへ留学。大学卒業後は人事組織コンサルティングの「リンクアンドモチベーショングループ」にてコーポレートコミュニケーション支援事業に従事した後、スタートアップベンチャーの「アレックス」に参画しオンラインコマース事業の立ち上げに従事する。その後、寺カフェを運営する株式会社結縁企画を創業。現在は普賢寺にて奉職。

普賢寺 http://fugenji.com