チベット仏教との出会い
引き出しを増やすべく、川口は現在、積極的にチベット仏教を学んでいる。チベット仏教である理由は、自身の前世が関係しているという。
「信じるかどうかはお任せしますが、私は前世でチベットにいたと思っています。」
前世では、チベット仏教ゲルク派の本山・ガンデン寺で、高僧の侍従のような手伝いをしていたという。現世でも自分の上に就いた人のサポート役を担うことが多いのは、前世からの因縁からかもしれないそうだ。
前世とチベット仏教とのつながりをより強く確信したのは、2013年11月の来日の際でのダライ・ラマ14世との、とある出来事からだという。
法王が増上寺(東京都港区)を訪れた際のイベントでの質疑応答のセッションにて、川口との問答の直後に、法王がわざわざ川口の下へと歩み寄り、川口を呼び寄せて、握手と共にチベット語でお声掛けをなさられたそうだ。
「チベット語は理解できないのですが、不思議と何を仰っているのかは分かったような気がしました。『空*』についてしっかりと修習を進めなさいと。その時に、未熟な僧侶のまま志半ばで亡くなった前世が救われた気がしました。」
*「空」とは、「全てのモノ・コトには実体が無い」という真理のことを表す言葉
と当時の感動を教えてくれた。仏教の家に生まれた理由や副住職になるまでの紆余曲折と葛藤、いま往生院六萬寺の副住職を務めていること、そして子供の頃からチベットに興味があったことの意味が、その時に初めてつながったという。