外の世界へ聞きに行き、伝える。「仏教の楽しさ」が現代の人々を救えると信じて
かつて自身が僧侶になることに苦悩した経験から、メディアや講演活動を通し「聞くこと」を重視している。同時に自分からも心を開くことも大切だと語る。
「ただでさえ僧侶は市民から見ると取っ付きにくい存在なので」
メディアに出演するようになったことでこの壁はずいぶん取り払われ、普段は話さない地域の人から声をかけてもらえるようになった。 番組を観て寺に来てくれるようにもなった人の中には、広島や仙台といった遠方からの人も。
泰丘は、著書の中で「現代人は近所付き合いをしないけど、SNSではつながりを求めてしまう。その結果生じる心の闇やストレス、悩み、苦しみを解決する方法が必ず仏教にはある」と語っている。
かつて自身も仏教の価値を信じず、その結果として夢見た進路を反対されるなど多くの挫折を経験した。
しかし、その挫折を経て多くのことを諦めることで気づいた「仏教の楽しさ」。その教えで救われる人が増えることが、僧侶である自分ができることだと強く信じているという。
だからこそ、その「仏教の楽しさ」を知っている僧侶が寺の中で人々が教えを請いに来るのを待っているべきではない。
もっと外の世界に出て人々の話を聞きに行く。そしてかつて臨済宗僧侶であった一休さんのように「これでいいのだ」と悩みを持つ人に伝えたいと強く語る。
そんな泰丘を支える妻は泰丘以上にサバサバしている性格で諦めが良いという。
「まるで泰岳寺の仏様のような存在ですね」愛情に満ちた顔で泰丘はそう語った。