人と人をつなげて課題を解決する寺を目指す
人を集めることに長けた雄谷に、現代の僧侶の多くが抱えている「寺に人が訪れない」という悩みについて尋ねてみた。
「寺が、問題を抱えている誰かの課題を解決する機能をもつ場所になることが重要です。
人と人が関わることによって互いの幸せを目指すことを“成仏”とするならば、課題解決も成仏を目指すひとつの方法でしょう。」
福祉と同様に、寺の仕事も、時代に合わせて効率が重視されるようになり、様々な事業が分割された。
寺はもともと多様な業務を果たしており、学校の代わりとして寺子屋を開いたり、役所の代わりに戸籍を扱ったりしていた。
廃寺になった西圓寺では、薬屋や両替商の看板、蚕の糸巻き機が天井裏から見つかったそうで、何でも屋っぷりには驚かされたそうだ。
雄谷は課題解決をうまく進める際のポイントを教えてくれた。
「寺で全てやろうとするのではなく、自分にできない領域を把握し、謙虚に受け止め、まちに自ら出ていき、できる人たちにつないでいくことが重要です。
そうすれば、困ったことや悩みごとがあった時に“お寺に行ってみよう”と考えてくれるようになるでしょう。
そこにただ存在するハコとしての寺ではなく、人と人がつながっている状態の寺であると、自ずと人は集まってくると思います。」