世界チャンピオンを生んだ「スラックライン」。その理由は、楽しむこと
筆遊び教室などを通し、「浄光寺を人が集まる、楽しい場所にする」という目的へと大きく前進した林。そんな彼がスラックラインと出会ったのは2013年の夏だった。
遊びに行ったスキー場に設置されたスラックライン場を偶然発見し、友人と挑戦したものの全く乗れなかった林。しかしその友人の一人が見事に成功し、負けず嫌いの林に火がついた。そこで彼が行った新しい施策は、なんと浄光寺の敷地にスラックラインを張ることだった。
敷地にできたスラックラインで練習を繰り返す中で、少しずつ成功できるようになった林は近所の仲間を巻き込み「スラックライン」を楽しむように。
時を忘れる面白さから林は敷地にスラックライン用のビニールハウスを設置し、多くの人々とその魅力を共有できる環境を作り上げた。
楽しむことを目的に互いに教えあうルールを作ってきた結果、1年目でスラックラインのプロ選手がこの浄光寺で誕生し、さらに2年目には世界選手権に出場する選手まで出てきた。
そしてその翌年には、なんと小布施在住の少年が世界チャンピオンになってしまったのだ。著書『楽しいだけで世界一!』で綴ったように、アスリートを育成するのではなく、楽しく挑戦できたのがその理由だと林は当時を振り返る。
「楽しむこととは、ズバリ自主性を持たせること。親や僧侶に教えられるよりも、子供本人がその目標を達成したいかどうかが大事で、楽しみながら挑戦したからこそチャンピオンになれたんだと思います。」
子供達の世界を目標にする意思を尊重した林は、小布施にスラックラインのワールドカップを招致することを決意。資金面などで周囲から反対され、また実現に2年はかかると思われたこの計画だが、なんと林はわずか10か月で実現することができた。
全ては子供達の挑戦したい思いを叶えるため。「子供に頑張れと言ってるのに、大人が挑戦しないのはおかしい。」と彼は自らの考えを語る。
今年も2度目となるワールドカップ開催(2019年9月15日)を予定している。